◎採否はクライアントの感性次第
2018.06.08 
 これまで作成したコピーのいくつかを紹介したい。

 もう何年前の作品か忘れたが(DVDに保存しているデータをみればわかるのだが)、日本カナダ学会というのがあって、そこが北海道で総会だか大会だかをやることになり、その周知ポスターの作成依頼を受けたことがある。
 周知と言っても一般人が対象ではなく、会員向けだったと記憶しているが、カナダらしい風景の写真をいくつか提供され、それを組み合わせて、「北海道で大会をやりますよ」という一文を、何か添えて欲しい、というものだったと思う。
 レイアウトは問題なかったが、悩んだのは、そのコピー。 会員向けとはいっても、あまりに事務的なポスターではつまらないし、何か一ひねりしたいな、と考えていた。

 その時出来上がったのが、「遥か、カナダ」というもの。
 おやじギャグと言われればそれまでだけど、北海道で開くのは久しぶりと聞いていたので、はるばる北海道に来てもらう参加者の旅情を掻き立てることにも繋がるのでは、という判断だった。
 ただ、クライアントに持って行くときは、さすがにふざけ過ぎているというお叱りも予想し、オーソドックスで事務的なものをもう一つ作り、2案として提示した。
 学会自体は、それなりに権威のある大きな組織のようだが、対応してくれた担当者は一人きりで、全権を任されているようだった。そして、その場で即座に選んだのか、「遥か、カナダ」の方だった。

 その担当者もかなりの年配者で、たぶん、おやじギャグを飛ばしている世代ではなかったか。
 でも、コピーに込めた趣旨を一通り話した上で判断を待つと、「面白いですね、こちらにしましょう」と理解してくれたのである。
 その後、使用時の反応を聞く機会もないまま終わったが、まぁ結局、クリエイティブな仕事というのは、客観的な優劣よりもクライアントの好み、感性で決まってしまうんだよな、ということをあらためて思い知った一件でした。

◎昨年の大手企業のコピーは…
2018.06.05 
 これまでの業務の中で、宣伝コピーそのものを作ることはほとんどなく、大抵は、リーフレットやフライヤーの制作に伴って、商品などのキャッチを考える、というケースがほとんどであった。なので、業務の中に占める比率としてはごく僅かなのだが、実は、これが最も好きな作業だったりする。
 ほんの1行、2行という短いことばの中に、どれだけその“商品”の本質を込めることができるか。取材して記事を書いたり、物語を紡いだりするのとはまったく違う、エキサイティングな創作活動だと思っている。

 ちなみに、下のURLは、ネットサーフィンをしていて見付けた、「【2017年版】目を通しておきたい大手企業のキャッチコピー50選」というサイト。印刷媒体だけでなく、サウンドロゴになっているものも含まれており、目に耳に馴染んでいるものがさすがに多いが、こうして50社、並べてみると、否応なく気付くことがある。
 https://ec-orange.jp/ec-media/?p=4561
 それは、英語の表記のものがかなりな比率を占めていること、そして英語のコピーは、ほとんど記憶に残っていないことである。

 もちろん、後者の方は「事実」ではなく、個人的な感想であり、英語が苦手という個人的資質によることが大きい。英語に違和感のない30代ぐらいまでの年代層なら、ふつうに記憶の中に定着しているのかもしれない。
 だが、やはり言いたい。「英文のコピーはつまらない」と。
 私は別に右翼的愛国者でもなんでもないが、日本語は、好きである。まぁ日本語しか使えないからだろ、と言われればそれまでだが。でも、一つのことばの中に、単に文字が指し示す意味だけでなく、書き手のさまざまな想いを言外に込めたり、読み手がそのことばから自分の辿ってきた人生の一部を切り取って重ね合わせたり、そういうことができる懐の深さが、日本語にはあると思う。
 まぁ他国の言語でも、それを当たり前に使っているその国の人々にとっては、事情は同じことになるのだろうが、日本で、たとえば英文や英単語にそういう含みを持たせるのは、かなり困難ではないかと思う。

 この先、宣伝コピーを作る機会がどれだけ訪れるかは分からないが、たぶん、英語に手を出すことはないだろうなと思う。